JIS規格ができても曖昧なままの医療用ウィッグ

医療用ウィッグと呼ばれる製品と一般用のウィッグとの違いは、見た目ではほとんどわかりません。また同じ医療用でも、メーカーによって作り方には差異があり、着け心地をはじめとする性能にも違いが出ます。

体験者である私は、医療用ウィッグの愛用歴足かけ6年ですが、ほぼ1年ごとにウィッグを買い替えてきました。医療用は数年前にようやくJIS規格が制定されました。それまでは医療用ウィッグの定義も基準もありませんでした。

そのため医療用を使用しなければならないユーザーにとっては、一般用と医療用の違いや区別がつかず、困惑しながらブランドイメージやネット上の口コミを頼りに購入するしかなかったのです。

実のところ、JIS規格ができた今日でも違いはわかりにくく、「JISができて何が変わったの?」という同病者からの質問を良く受けます。ウィッグと医療には長きにわたって深い関わりがありますが、残念ながら完璧には整備されていません。

ウィッグと医療との関係

医療用ウィッグとは

本来的に患者の日常生活を助け、社会復帰を早めるために作られた製品である。「クオリティ・オブ・ライフの向上」などとも言われている。

患者の日常生活を助けるとは

「見た目」を良くして心のバリアがない状態で、いつもと変わりなく外出できること。それを可能にする製品。

社会復帰を早めるとは

専用ウィッグの機能性とクオリティが高く保たれ、利用者の「運動能力と対外的なコミュニケーション欲」が高まることで、結果として勤務先への復帰が円滑にすすむこと。

購入後に気づく不具合”では社会復帰が遅くなる

医療用ウィッグの着け心地を決定づけるものは1つや2つではありません。最低でも下記の5つはチェックしてから購入しないと、購入後に不具合に気づき、それが邪魔をして運動機会の減少~社会復帰の遅れへとつながってしまいます。

医療用ウィッグ着け心地の差

ネット構造で軽いもの。

ウィッグは頭の上に載せるものなので、ウィッグはできるだけ軽いものを選ぶべき。ネット構造の製品がベスト。ウレタンやシリコンがベースにあるものはNG。

通気性が良く、衛生的なもの。

ちょっとした歩行や運動でも汗をかくようになるので、ウィッグの通気性はものすごく大事。ムレると臭くなって、臭いの除去がむずかしくなる。不衛生にも~。

サイズやモデル数が豊富なメーカー。

脱毛前の自分の髪に近づけるには、モデル数が多いほどマッチさせやすい。サイズも3段階とかではなく5~6段階あるメーカーから選ぶべき。

アジャスターなどフィット感を高める工夫・充実。

髪が徐々に減っていくことで、その都度のフィット感が大事になる。程よい絞め心地とズレ防止機能が必須。縫い込みの糸は汗で変質しやすい。

ウィッグの髪質・メンテナンス性の良いもの。

ふんわりした自然のふくらみと髪の感じ、つむじのナチュラル感があれば、着けていても自信がもてる。即対応してくれるメンテナンス機能がメーカーにあること。