認識1 日本の医療環境は、患者本位で素晴らしい
医療先進国のアメリカでは「医師と薬局の役割分担」など、医療の細分化が日本よりも早くすすんできました。たとえばアメリカにはプライマリードクターという役割の医師がいて、基本的にはその医師を通して専門医が紹介される仕組みです。
けれども、役割分担が行き過ぎていて困ることもあります。ドクターは処方箋を発行してくれるだけで、薬局は自分で探さなければいけないし、かかりつけ薬局などという仕組みもありません。
病院の近くに城下町のように薬局が連なる日本と違うので、仮に苦労して薬局を見つけても、すべての薬がそこで揃うわけではないのです。決められた医師の役割が終われば、後は自己責任でヨロシクといった感じです。
そのようなワケですから、医師に医療用ウィッグのことを相談するなどあり得ない話~。院内にもそのようなことを相談するような窓口はありません。「なんでも相談室」といったような患者本位のセクションはないと言って良いでしょう。
日本では抗がん剤治療や円形脱毛症で病院を訪ねたとき、医師や看護師にウィッグのことを聞くのは普通ですが、私の友人は、「アメリカ生活でそのような質問をしてしまって、医師にポカンとした顔をされた」とも言っていました。
医療の細分化が先進的に行なわれた国のアメリカは、実のところ進化というものがなく、そのままの分業体制がつづいています。それに対して日本は後進国ではあったけれど、医師と患者がほどよく融和した環境をつくってきました。
認識2 ガン生活と収入源を甘く見ないほうが良い
アメリカの話とは別に、もう1つ認識しておいたほうが良いことがあります。それは手術とか抗がん剤治療を含む化学療法、あるいは放射線治療などは、健康保険が適用されるといってもお金がかかるということです。
さらに深刻な事態は、治療中や闘病生活を余儀なくされている間は、働けなくなるので収入がなくなるということ。もしくは収入減になって想定外の出費が増えるので、経済的な苦痛が重くのしかかってくるということ。
ウィッグで浪費しない。いまあるお金は大切に。
- 抗がん剤治療を含む医療費は高額であり、医療費負担だけでもかなりの痛手となるので甘く見ないこと。
- 闘病中は基本的に働けないので、“出費がかさむが収入はなくなる、または収入は減る”ということを認識すべき。
- だいたい1年がかりの長期戦になるので、甘く見ていると困窮するハメに。いまあるお金は大事にとっておくこと。
- 医療用ウィッグが必要なら、通販で5万円・7万円のウィッグで十分。長期戦でコトを構えるときに30万円するブランドもの。高額主義は不要。
- お金を大事にしたいなら医療用ウィッグでも新品のレンタルがある。ウィッグの髪のアレンジも無料でやってくれる。
会社勤めをしていて給料から3割程度減額されても、それが受け取れる人はラッキー。しかし治療は1年がかりになるので、“出費の増加+収入源”は、ボディーブローのように効いてきます。手元にあるお金は大事に使いましょう。