医者・看護師は“病気を治すこと”に専念して欲しい

医療という現場で、医療用ウィッグのインフォメーションやサポートが不足している。もっと親身になって紹介してくれても良いのではないかといったような意見が多数寄せられているようですが、私としては、医療(病院)がそこまでの面倒をみる必要はないのではないかと思っています。

もちろん私も抗がん剤で脱毛している患者の1人なのでこのようなアンチな意見を言わせてもらうのですが、医療は患者の病を助けるものであって、患者の私生活を助けるものでも場所でもないと考えるからです。

病院はコンビニではありません。いろいろなサポート機能が複合化していって、「より便利になればいいのに」といった見方をすべきではないと思います。ただし、病院にウィッグメーカーの業者が出張してきて、院内の特設ブースか何かで展示販売をすることについては賛成です。

要するに、医師や看護師の手を煩わしてまで、案内をしたりサポートをしたりする必要はないというのが私の考え方です。ネット社会といっても、実際にパソコンやスマホを使えない高齢者もいれば、ネット通販がきらいという人もいます。医療とは一線を置いた関係者がお世話をする分にはいいと思います。

「専用スタンドの常設」程度なら医療を妨げないかも

私がこれまでに入退院した医療機関でも、医療と医療用ウィッグを一元的に扱って、医師や看護師が担当者に引継ぎを行なってくれるところがありました。

業者の展示説明会がある病院や、医療用ウィッグについて何のインフォメーションもない病院もあります。いろいろです。「医療機関として日本国内で統一した見解をもって、サポートサービスを均質にしたら」という意見もあるようですが、病院には個々の方針があり、国立もあれば県立・市立もある、私立の病院だってあります。横断的に統一した見解をもたせるような組織はつくれないと思います。

業者の連絡先やパンフレットなどの専用スタンドを常設する程度なら可能かも知れません。医師と看護師は命を預かる職業なので、それに専念し、最優先で取り組んでもらいたいと思います。

簡単に考えがちですが、医療用ウィッグのメーカーを仮に病院が仲立ちして紹介した場合、何かのトラブルがあれば病院サイドが責任をもたなければならなくなります。責任をもつということは、メーカーの管理やチェックを病院が行うということです。

単なる紹介だけでも病院側の仕事は増えてしまいます。できるならカッチリと一線を引いた形で行うのがいいと思います。