脱毛OB・抗がん剤治療OBが問題解決に一役

医師や看護師は、医療用ウィッグについて推奨やアドバイスをしてくれない、医療用ウィッグというのは一体どんな存在なのといった声が多く聞かれます。

しかし、医療用と名が付いていれば、何でも医療機関が面倒をみなければならないという解釈にも問題がありそうです。

肝心なことは、抗がん剤治療で脱毛してしまった女性が、頭皮をカバーするために被らなければならない道具であることは確か、ということ。医師でなくても、専門知識のある第三者に客観的な意見はしてもらいたいものです。

患者や家族のこうした意見の高まりを受けて、ここ数年のあいだに、医療機関内部で“積極的な取り組みをしよう”という動きもみられるようになってきました。

たとえば福岡県にある病院では、医師でも患者でもないボランティアの人が、ガン患者の悩みや医療用ウィッグについての相談などに対応しています。彼らは一般の人ですが、心強いのは全員が“抗がん剤経験者、脱毛によるウィッグの経験者”ということです。

表現は適切ではないかも知れませんが、脱毛OBであるが故に、ウィッグのこと、髪を失う苦痛については医師よりも良く理解しています。

病院にある相談室をコミュニティ・スペースに使って

お気づきの方も多いと思いますが、総合病院にはほとんどすべてに「相談室」というスペースが用意されています。その部屋は、1階の外来受付カウンターの横などコミュニティ空間の近くにあって、通院・入院していない人でも、相談事に乗ってもらえるような部屋になっています。

福岡の病院ではそこをボランティアの人たちに開放して、抗がん剤治療や医療用ウィッグの相談など、悩みを持つ患者と自由に交流がもてる場所としています。

  • 地域に住む抗がん剤治療経験者、脱毛経験者が、医療用ウィッグの相談に乗っている。
  • 医師や看護師でも治療や脱毛を経験した人間ではないので、医学的なことを除けば、一般のボランティアのほうが、治療経験・脱毛経験のプロである。
  • その相談室には、医療用ウィッグ各メーカーのホームページを印刷したファイルブックが置いてある。患者の目線から特徴を語りアドバイスを送っている。
  • 患者が何でも自由に書き込めるような「雑記帳」も置いてある。医師には直接言いにくいことも、けっこうハッキリと書き込んであったりする。
  • こうした取り組みを管理するのは病院の職員。医師と看護師は医療的なことにのみ関与する。分担を明確にすることで、医師と患者のストレスをなくしている。

すべての医療機関がこのような取り組みを行えるわけではないと思いますが、この福岡の場合も、患者や家族の発案から始まったといいます。

ボランティアにもいろいろありますが、 “病院に要求するなら自分たちでも”という参考にはできそうです。