主治医や看護師からアドバイスは得られない

「医療用のウィッグだと言うから、主治医や看護師さんが選んでもっと指導をしてくれるのかと思っていた」というような感想は、同じ病棟の患者さんや同病の方からよく耳にする言葉です。

実際に普通のファッション用ウィッグとの違いを比較してみると、多少、滑り止めなどがたくさん付いている程度で、違いはよくわかりません。

抗がん剤治療の初心者であった当時の私も、たまたま知り合いが教えてくれたので、“医療用に大きな意味がないこと”を知ったような次第でした。“近くて遠い医療とウィッグ”という表現がピッタリな現状です。

困っている人・迷っている人は参考にして欲しい

前述のような現状から、どうしても必要になるのが医療用ウィッグとして試着・購入する際の基礎知識・チェック能力です。ビギナーの方向けに、脱毛とウィッグの先輩としてそのポイントとなる事柄を列記しておきます。

  • 医療用ウィッグは試着が大事。しかも店頭での試着は遠慮や妥協が入ってしまうので絶対にNG。
  • 試着は無料のメーカーを選ぶべき。購入する前提ではなく、購入したくないときは返品も自由(無料)であることが絶対です。
  • 自宅で試着ができ、着けたまま外出、散歩・買い物、運動を体験すること。とくに汗をかいたときの通気性、ベース部分に滞留する湿気をチェック。
  • 滑り止めやネット部分などの縫い付けが重要。しっかりしていないとスグにほつれたり、汗で糸目が弱ってしまったりする。
  • ネットは伸縮性を確認すべき。軽く引っ張ったとき、戻りの勢いが弱いようならネットの品質・性能に問題あり。きつめの反発力があるくらいが良い。
  • 軽さとフィット感が大事。できれば寝るとき以外は着けて過ごしたいという人は、シリコン製やウレタン製ではない、ネット構造のウィッグがおすすめ。
  • ウィッグが重いと、運動に行きたくなくなる。肩こりの原因、血行不良、偏頭痛になる人もいるので、ここは妥協できないポイント。
  • メンテナンス、ケアサポートの充実度合いが何より大事。初心者は、医療用ウィッグについて知らないことだらけなので、相談相手は必須。
  • メーカーには絶対に電話して生の声を聞くべき。質問に曖昧な答えしか返せない、即答のできない担当者が出てくるところはやめる。
  • メーカーについてはホームページを事前に絶対にチェック。具体性のないサイト、ありきたりの宣伝文句などが並ぶメーカーの製品はNG。
  • 職人の工房と一体化した専業メーカーがベスト。医療用ウィッグは究極のところ、職人の手の入れ方、誠実さ、正直さで決まる。
  • ブランドロイヤリティが上乗せされた高級品は、実質の価格(原価や工賃)を考えてみること。20万円もするようなウィッグは必要ない。