日本の医療レベルは低いの?誰のせいなの?
「日本人の2人に1人はガンを発症し、3人に1人がガンで死亡する」と言われたのが、もういまでは遠い昔のような話になりつつある。ガンの温存療法や凍結療法、量子腺治療、腹腔鏡による即日復帰治療など、数え上げたらキリがないほどの治療法や特効薬が開発されるようになった。免疫療法の分野では、先日、日本人の教授がノーベル賞を受賞した。
比較の問題ではないが、日本国内で難病と指定されている病気の数は30~40あるが、難病は絶対数が少ないために研究者の数も少なく、新薬・治療法がなかなか開発されない。研究に充てられる予算も少なく、数少ない研究者は日陰の身の存在でしかない。それとくらべればガン患者の希望はまだ大きい。
しかしこのような現状にあっても、「日本でガン患者の死亡率が高いのは、医学・医療のレベルが諸外国よりも劣っているからではないか」と、現状を疑問視する意見があったりする。ガン患者の1人である私は患者のプロではあっても、医師ではないので専門的なことはわからない。
- ガンの発症率・死亡率は、遺伝や生活習慣・食習慣、ストレスを発症させやすい環境にあるかどうかに左右される。
- さまざまな要因が考えられるのだから、まずそのリスクファクターのあり方とガンの進行を包括的にみなければならない。
- フランスやドイツは、日本にくらべ喫煙人口が圧倒的に低く、ストレス性の疾患をかかえる患者が極めて少ない。故にガンの外科的手術を受けても、転移・再発率は少ない。
- 神経質に考えすぎ、うまく自分の意識転換ができない日本人気質が、ガンの発生を助長させている可能性も否定できない。
ガンを医者任せにしない。自分で撃退する生活
日本人気質がガンを助長させているという声が関係者の間にあることを知って、「せっかく最先端の治療を施してもらっても、気持ちを切り替えず、発症前と同じマインドで同じ生活環境・食生活、職場環境を継続していたら、確かに再発率は高まるのかも知れない~」。
そんな話を聞いて、私は入院時に購入していた医療用のウィッグを手に取り、考え直した。再発なんてとんでもないという恐怖心も強かったが、退院後の私は、ウィッグを“脱毛隠し”にしか使っていなかったことに気づかされたからだ。またウィッグを被った日々の散歩は義務であって、半分は嫌々やっていた。
生活環境は退院後に変わったかというと、私には憂鬱な気持ちがのしかかっていたので、入院前より陰気で後ろ向きな環境になっていたと思う。息子2人と主人の4人暮らしだが、家族に自分の憂鬱を伝染させていたかも知れないと気づいた。それで私の趣味だったキルトを再開することにした。
キルト仲間にもガンのカミングアウトと入退院の顛末を話して、グループで定期的に教室を開くようにしてもらった。そうすれば自宅にこもって布と向き合うことがなくなる。来月にはキルトの本場に行く海外旅行のプランを立て、近い将来、グループで研究旅行に行くつもり。ガンを医者任せにせず、自分で迎え撃ってやろうと思う。