選びの基準が定まっていない故の混乱

脱毛症で悩む人にとっては、自分で医療用ウィッグを探すことより、できれば医療現場で働くプロの目から、「これが医療用です。これを使っていただくことをオススメします」と、医師のお墨付きがあるウィッグを使用したいものです。

実に抗がん剤治療や円形脱毛症、遺伝的な薄毛などで悩む人のうち、医療用のウィッグの選択で苦労したという人は80%以上にのぼるという調査結果が出ています。ほとんどの人が、選択の際に最適なウィッグを探し回り、迷い、最終的には妥協して被っているといったようなイメージがそこにはあります。

なぜそのようになるかというと、医療用ウィッグには、とくに特別な規定がなく、そのようにネーミングすればそれが専用のウィッグというようになってしまうという日本の現状がありました。

メーカーの自由意思で、たとえば一般の製品と変わらない機能性しか有していないものでも医療用として売り出されていたりします。その結果、ユーザーは「できるなら医師のオススメを用意して欲しい」となるのです。

しかしそうした状況にも終止符が打たれる時代がようやくやってきました。2015年の4月20日から、医療用ウィッグに関してのJIS規格化が制定され、すでに運用がスタートしています。

医療用ウィッグのJIS規格化がスタート

このJIS規格とは日本毛髪工業共同組合が主導し、患者・医師など医療関係者、医療用ウィッグの製造事業者などとの緊密な連携・ヒアリング、部会などを積み重ねて実現したもので、日本国内では初めての標準化となります。

詳しくは経済産業省のホームページに掲載されていますので、参考にされてください。規定に際して主眼となったのは以下の項目です。

主な規定内容

  • ダイレクトに頭皮に接触する部分のネットの性能・品質について
  • スキンベースの部分について
  • 付属部品などインナーキャップの工夫、性能・品質に関して
  • 洗濯における堅牢性(丈夫さ・変質のなさ)
  • 遊離ホルムアルデヒドについて
  • 運動時、長時間着用時などに生じる発汗の影響と堅牢度合い

これらの各項目について一定レベル以上を有しているウィッグについては、日本毛髪工業協同組合(Med認証部会)による認定マークも付与されます。

この認定はそれによって製品の差別化や優位性、販促の一助とする商業的な狙いがあるものではないと訴求されています。脱毛症で悩む人たちからの声が大きくなったことに対し、業界として働きかけていった結果の1つです。

まだスタートラインについたばかりですが、医療用ウィッグ選びの混乱を収めいくには良い取り組みだと思います。見守りましょう。