医療用を知らない人、選択しない人が3割~4割も
残念なことですが、抗がん剤治療による脱毛や円形脱毛症などで、医療用ウィッグを選択せずに普通のウィッグを使っている人の数は、3割以上、4割に達するかもしれないという美容師の見解があります。
福岡にある総合病院では、医師や看護師、美容師が中心となって数年前から患者に対する講習を行なっているそうですが、まだまだ医療用ウィッグの認知度は低いと言います。
医療用ウィッグを知らない人に加えて、「見た目で普通のファッション用ウィッグと医療用ウィッグの違いがわからないこと」や、「医療用は高いという思い込み」もあって、医療用を選択しない人がいます。
- 医療用ウィッグは、ウィッグ市場全体からみると需要が少ないので、宣伝そのものが不十分。
- “知る人ぞ知る医療用”になってしまっているのではないか?人づてに聞いて存在を知るしかない。
- 存在を認知していても、医療用は高いとの思い込みがあり、調べる前に検討・購入することを諦めている。
- ファッション用ウィッグは、ブランドもので20万円~といった価格帯。それより高いという思い込みがあれば30万円前後をイメージしている人も。
- そもそも医療用とは何か、闘病期には必需品という知識がない。情報が少ないので仕方のない一面もある。
- 医療用ウィッグの必要性を理解していないので、家にある普通のウィッグで間に合わせている人も多い。
医療用は一般用より安価、患者のための機能も充実
上記に列記したものは、福岡の講習会を主宰するスタッフが、参加者からヒアリングした内容をまとめたもの。中でも「医療用は価格が高い」、「医療用の意味がよく分からない」という参加者の意見は多いそうです。
また「医療用には特別な装置がついている」と、ギブスのようなイメージをもっている人も。医療と医療用ウィッグは、本来、患者の闘病生活やリハビリ、社会復帰を手助けするために考えられた製品です。
正しい認識があれば、治療や闘病に備えて誰もが手にするはずの存在です。何がどう違うのか、医療用は高いのかなど、少なくてもその程度のメッセージは正しく広めてもらいたいものです。
- 医療用ウィッグは、普通のウィッグと変わらない価格帯で販売されている。
- 通販の医療用ウィッグであれば、コストがかかっていない分、販売価格に還元されている。
- 通販の中には、「デパートで売られている製品と変わらない品質で、3分の1の価格」というメーカーもある。
- 医療用は、「フィット感、滑り止め、蒸れ防止、衛生面、着脱の容易さ、軽さ」などに、一般にはない細かな工夫がなされている。
とくに脱毛による頭のサイズの変化については、医療用でなければその都度の心地よいフィット感は得られないほどです。
このフィット感が、リハビリ意欲・外出意欲を高め、社会復帰を早めているというのも事実です。