医師にできること。自分でなければできないこと
『不安と苦悩はがん患者と家族の生活の質に影響する~。それは目に見えない未来とやみくもに闘わなければならない恐怖が引き起こすストレスが原因している。たまには病気のことを忘れて、他のことに夢中になれる自分になることが必要だ』。
ネットの検索の仕方にもよるのでしょうが、最近クオリティ・オブ・ライフをテーマにした医師の記述の中に、患者の暮らし方に対する提言のようなものが目立つようになりました。患者の自主性を促すような記述は、取り方によっては、医療の限界を表しているのかなとも思う。
けれども医師任せ・医療任せで、勝手に治癒するのを待っている患者というのも無責任なものです。私が5年前にがんの告知を受けたときは、「医者と患者は二人三脚。私も最大限の努力をしますから一緒に頑張りましょう」と言ってくれた主治医。
住む場所を移転して病院を変わりましたが、その言葉をいまでもはっきりと覚えています。うまく表現することができませんが、私の場合は医療用ウィッグを購入することで、危うくうつ病になりかけていた自分の精神状態を普通に取り戻し、いわゆる“がんストレス”と言われる日常から脱することができました。
治療は二人三脚~自分にできること
- がんは医師任せ・医療任せにせず、“患者である自分でもできることがあるはずだ”と考えた。
- 自分にできることは、心の平穏を取り戻すこと。そのためには病気を忘れ、趣味の世界に自分を引き戻すこと。
- 家に閉じこもろうとせず、友人・知人と積極的に会って、昔のような時間を少しでも楽しもうとすること。
- 体力を取り戻して外出し自由な時間を満喫するためには、医療用ウィッグが不可欠と考え、即日にネットで購入した。
やってみれば、がんストレスもうつ病も解決
まだ漠然とはしていましたが、目標さえ定まれば何とか自分を動かせると思った私は、週に1回は友人を誘ってお茶をしに行くことなど、3つの達成に向けて、自分を前に押し出しました。三日坊主になりそうなとき、体調が良くないときは家族の助けもかりながら、弱々しいスタートではありましたが。
- とにかく毎日1回は散歩に出かける。体調の良い日は大股でウオーキング。
- 週に1回は、友人とお茶をする。
- 闘病前にはレギュラーだったママさんバレーに顔を出せるようにする。
このような目標を立てて行動する以前の私は、がんストレスからうつ病になりかけていましたが、いつの間にかその状態からは脱し、行動を開始してから3カ月が経過したころには、ママさんバレーの会場にも顔を出せるようになりました。
医療用のウィッグで思い切りをつけ、医師の言う“二人三脚”ができたことに達成感を感じています。病気のことを忘れた日常など無理だと思っていましたが、無理でもやってみると開き直れば、意外とやれるものです。